プライベートな空間で気兼ねなく湯浴みを満喫したい！そんな願いを叶えてくれるのが温泉風呂付きの客室や貸切温泉＝家族風呂のある温泉宿です。その特徴やこだわりもさまざまなので、どこにしようか迷いがち。ここでは、「全客室源泉掛け流し」「名湯を堪能」「プライべートヴィラ」「種類豊富な貸切風呂」と、4つのテーマに沿った関東近郊にある温泉宿を紹介します。

家族や友人、恋人ととっておきの時間を過ごせる、今注目の家族風呂でリフレッシュしましょう。 

名峰・谷川岳の山麓、渓流沿いに佇む「別邸 仙寿庵」は、総敷地35,000坪に客室はわずか18室のみという、贅を極めた温泉宿です。厳格な審査基準を満たす一流のホテルとレストランのみ登録が許されるフランス発祥の組織「Relais & Châteaux（ルレ・シャトー）」に加盟する日本で数少ない宿泊施設でもあり、きめ細やかなおもてなしにも定評があります。

最大の魅力は全ての客室に源泉掛け流しの露天風呂を設えていること。岩盤浴室が付いた特別室、広々としたテラスがある和室、ダブルベッド2台の洋室など、意匠を凝らした和とモダンが融合する客室が7タイプ用意されています。

どの客室露天風呂からも谷川岳が一望でき、その眺望の良さと、3つの自家源泉を合わせた温泉の豊富な湯量と泉質が自慢です。客室露天風呂のほか、大浴場の内湯と露天風呂でも、肌に優しい弱アルカリ性の上質な温泉がこんこんと注がれ、心ゆくまで湯浴みが楽しめます。

湯上がり後は日本の伝統的な建築手法と現代建築が交差する館内を散策してみましょう。地元群馬県の土を使用したスサ入り京土壁、玄関の手漉き特殊和紙など、匠の技を凝らしたデザインが随所に施されており、見る者を魅力します。

なかでも、フロントと客室を結ぶ高さ約8m、長さ40mのガラス張りの曲面廊下では、ガラス越しに広がる緑の庭園内を歩いているような開放感あふれる空間美に圧倒されるでしょう。
その洗練された雰囲気の館内には、上州黒毛和牛や山川の幸を使った季節の創作和食料理を堪能できる食事処、木々に囲まれた暖炉を備える読書ルーム、そして温泉との相乗効果を期待できるエステなど、身も心もリフレッシュできる癒しの施設も完備。2020年には大浴場のドライサウナがリニューアルし、セルフロウリュも可能になりました。

水風呂、そして外気浴で極上の“整い”を体感してみてはいかがでしょうか。

自然湧出量日本一を誇る天下の名湯・草津温泉。草津のシンボル「湯畑」から徒歩3分の地蔵通りに立つ「炯-kei」は、全室スイートタイプの宿泊施設と、ジャンルにとらわれない調理法で作り出す「レストラン惠」からなる、スタイリッシュな温泉オーベルジュです。

草津には主要6つの源泉があり、そのうちの地蔵源泉と万代鉱源泉を引湯していて、一部の露天風呂付き客室と貸切風呂でふたつの源泉を楽しめます。ここでは草津の湯と向き合うプライベートな時間を大切にしてほしいと、大浴場を置かず、3つの貸切風呂を設けています。

浴槽を竹で囲った「HIKARI」と、湯温の異なる3つの浴槽を置く草津の伝統的な入浴方法「合わせ湯」を再現した「AWASE」には微白濁の希少な地蔵源泉が、緑に包まれた半露天風呂の「RYOKU」には強酸性で美肌効果も期待できる無色透明の万代鉱源泉が引かれ、すべて源泉掛け流し。これらの貸切風呂は空いていれば自由に入浴できるので、おこもりステイで温泉三昧もおすすめです。

全7室からなる客室は70㎡以上の広さと部屋ごとに異なるモダンなデザインが特徴で、3つの客室には露天風呂も備わります。そのなかでも、注目はかつてこの場所にあった湯治宿「高砂館」の名前を冠した特別室「TAKASAGO」。旧高砂館で使われていた飾りの木材をリユースしたり、格天井を再現するなど、宿のテーマ“故きを温ねて新しきを知る”を体現した、おもてなしの心に触れることができます。

お楽しみの夕食は「レストラン惠」へ。日本料理をベースに、旬の食材をいかした独創的な料理の数々をコース仕立てで味わえます。名湯・美食・ラグジュアリーステイが一体となった、優雅なひと時が流れる温泉オーベルジュに、滞在してみませんか。

東京からアクセスが良い人気温泉地・箱根。標高650mの自然豊かな仙石原の森のなかに広がる「箱根リトリート villa 1/f」は、11棟の独立した温泉付きプライベートヴィラが点在する宿泊施設です。

木の温もりあふれるコテージ風の客室は棟ごとに間取りが異なり、専用の風呂も然り。なかでも10号棟「天空露天温泉スイート」は、敷地内でもっとも高い場所に位置し、広々とした露天風呂では星空や月明かりとともに、秋は紅葉、夏は深緑と四季折々の景色に包まれながら湯浴みができます。箱根山や三国山を一望できるテラス、ヒノキの温泉内風呂がふたつ備わる、おこもりステイにぴったりな至高のくつろぎの空間を堪能できます。

そのほか、開放感あふれる露天温泉風呂付きの「露天温泉スイート」、竹林に囲まれた「半露天温泉スイート」などもあり、好みの客室棟を探してみるのも一興です。客室風呂と大浴場内湯を満たすのは、ナトリウム-塩化物泉の強羅温泉で、冷え性や疲労回復効果に期待ができます。

そのほか、敷地内にはオリジナル精油や日本初オーガニック認証原料のスキンケア「ARTQ ORGANICS（アロマティーク オーガニクス）」を使用するスパ「könoha spa」、神奈川や静岡を中心とした旬の食材で作り出す季節の会席料理に定評がある食事処「料亭 俵石」も併設。こちらの建物は、上皇陛下が幼少期に宿泊した数寄屋造りの老舗旅館を改装したもので、格式高い落ち着いた佇まいは一見の価値があります。

また、「箱根リトリート villa 1/f」ではお茶体験、陶芸体験、ヨガといったインドア系アクティビティから乗馬や芦ノ湖カヤック体験、トレッキングツアーなどアウトドアアクティビティも開催しているので、せっかくなら、早めに出かけて、ゆっくり隅々まで楽しみ尽くしてみてはいかがでしょうか。

「1/f」とは自然界にある“ゆらぎ”のことで、いわばヒーリングの源。日常の喧騒から離れた至福のリラクゼーション空間で、とっておきの時間をお過ごしください。

種類豊富な浴槽で湯浴みをしたい！ そんな温泉LOVER必訪の宿が「伊豆高原 城ヶ崎温泉 花吹雪」です。

伊豆半島の東海岸、富士箱根国立公園の4,000坪の森の中に貸切風呂、料理茶屋、宿泊棟が点在しています。大浴場の代わりに趣向の異なる7つの貸切風呂を備え、予約不要で24時間入浴できる、湯めぐりにぴったりな温泉宿がこちら。

貸切風呂は、遠州の侘び寂びを表現した半露天風呂の「鄙（ひな）の湯」、黒文字の香りに癒される内湯と露天風呂の「黒文字湯」、総ヒノキ造りの「檜湯殿」、伊豆石やヒノキを使った「サンパヤテレケ」と「ヒュレヒュレイセポ」、綾部焼や志野焼をしつらえた「織部湯」、「志野乃湯」と、どれも個性派揃い。すべての浴槽には源泉から引湯する天然温泉が掛け流され、塩化物・硫酸塩泉の城ヶ崎温泉は疲労回復から冷え性改善も期待できる、美肌の湯としても知られています。

湯めぐりするもよし、好みの湯殿をリピートするもよし、自分だけのナチュラルヒーリングを体感しましょう。

客室は4つの宿泊棟に計17部屋が設けられており、棟ごとに広さや趣が異なります。温泉浴室付きの特別室、３つの空間からなる広々とした和室など、三世帯やグループにもぴったりな客室もあります。窓の外には緑あふれる自然が広がり、まるで森のなかの別荘に滞在しているような気分に。温泉浴を満喫した後は、森林浴を楽しんでみてはいかがでしょうか。敷地内には森の散歩道が備わり、四季折々の草花を鑑賞しているとリスの姿を見かけることも。また、城ヶ崎海岸まで約1kmの散策もおすすめです。

お食事は季節の移ろいごとに表情を変える森の料理茶屋にていただきましょう。夜は伊豆近海でとれる海の幸や高原野菜、山の幸をいかした懐石料理に舌鼓を。3種類から選べる朝食も好評です。

今回は、誰にも邪魔されず、好きな時に好きなだけ湯浴みができる関東近郊の高級温泉宿をご紹介しました。忙しい日々から解放され、家族や大切な人と過ごす時間は何ものにも代えがたい幸せ。また、小さなお子様と一緒の温泉旅行では、家族水入らずで団らんできる家族風呂は、安全面から考えても安心感があります。

今度の週末は家族風呂のある宿で、ちょっぴり贅沢な癒しのリラクゼーションステイを満喫されてみてはいかがですか。