「交際費」とは?「接待交際費」との違い、経費計上のポイントと上限を解説
「交際費」とは?「接待交際費」との違い、経費計上のポイントと上限を解説
2025/07/18
2025/07/18
ビジネスにおいて、取引先や顧客との関係をより円滑にするための支出である「交際費」。実は、経費として計上できる費用・できない費用が法人税法や租税特別措置法で規定されており、経費とみなされる上限金額も、事業形態や法人の規模によって異なります。
この記事では交際費の概要や「接待交際費」との違い、交際費として計上できる費用の具体例、経費とみなされる金額の上限などについて解説します。
「交際費」とは?
「交際費」とは?
「交際費」は、社外の取引先や顧客など、ビジネス関係がある人との交際にかかる費用で、税法上の正式名称は「交際費等」です。交際費の定義は法人と個人事業主でも異なります。
・法人
法人税法などでは、「交際費等」とする費用や金額などが明確に定義されています。
・個人事業主
所得税法には「交際費等」といった区分はなく、ビジネスに関する費用はすべて「経費」になります。
まずは、法人税法に定められている「交際費等」の定義や範囲をみていきましょう。
・「交際費等」は、事業にかかる接待や贈答などにかかる費用
「交際費等」は法人税法や租税特別措置法などの法令で使用されている言葉です。租税特別措置法「第三章 法人税法の特例」では、以下のように定義されています。
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの。(租税特別措置法「第三章 法人税法の特例」より引用)
参考:e-GOV法令検索「租税特別措置法(第61条の4 第6項)」
「供応」は、お酒や食事で相手をもてなすこと、「慰安」は心を慰めて労をねぎらうことです。前者は会食、後者は接待ゴルフなどを想像するとわかりやすいかもしれません。
つまり、会食やゴルフ・旅行などの招待、お中元・お歳暮など、取引先や顧客をはじめ、仕事上の人間関係を維持・向上するために必要な費用が「交際費等」に該当するということです。
・法人の場合、交際費等の経費計上はできるが税務上は「損金不算入」扱いになる
法人と個人事業主で、経費とみなされる金額の範囲も異なります。
・法人
交際費等は原則として「損金不算入」扱いになります。損金不算入とは、会計上は経費として処理できても、税法上は損金(経費)として計算できない費用。ただし、法人の区分に応じた措置が設けられており、一定の割合で損金として計上できる場合があります(詳細は後述)。
・個人事業主
交際費の全額を必要経費として処理できます。ただし、事業規模に対して高額の交際費が計上されている場合は、税務調査の対象になる可能性があります。
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「交際費」と「接待交際費」の違い
「交際費」と「接待交際費」の違い
税務や法令等で使用される「交際費等」だけでなく、経費処理などでは「交際費」「接待交際費」という名称も使われています。しかし意味合いとして大きな違いはなく、どちらも「交際費等」の俗称です。
会社によっては、たとえば飲食や娯楽などの職務上の接待に直接かかる費用を「接待交際費」、贈答費や慶弔費も含めた、取引先や顧客との関係維持や強化にかかる支出全般を「交際費」とするなど、使い分けを行うケースもあるでしょう。
ほかにも、「交際費」は職務上の交際全般にかかる費用を表す広い概念、「接待交際費」は会計処理で使われる実務用語として使用している場合もあります。会計ソフトによっては、「接待交際費」という勘定科目があらかじめ設定されている場合もあります。
個人事業主の場合は、経費のうち「接待交際費」として確定申告を行えますが、法人は前述したように「交際費等」として処理します。そのため、法人は必ずしも「接待交際費」という勘定科目を使用する必要はない、ということになります。
法人が交際費等として計上できる費用とそれ以外で計上すべき費用
法人が交際費等として計上できる費用とそれ以外で計上すべき費用
法人がビジネスで相手との関係を円滑にするために使われる費用のなかには、交際費等として計上できる費用と、別の項目で計上すべき費用があります。具体的に見ていきましょう。
・交際費等として計上できる費用
| 項目 | 勘定科目 | 具体例 |
| 取引先や顧客との会食費 | 交際費等(接待飲食費用) | 1名あたり10,000円以上の飲食費など |
| 取引先や顧客への贈答品 | 交際費等 | お中元やお歳暮、開店祝いの贈答品、営業先の手土産など |
| 取引先や顧客とのゴルフなど | 交際費等 | 接待目的で行う娯楽費 |
| 取引先や顧客への慶弔費 | 交際費等 | 結婚祝いや香典代など |
| 得意先や顧客を招いた懇親会やイベントの費用 | 交際費等 | 観劇・スポーツ観戦の席料など |
| 得意先や顧客を招いた懇親会やイベントの交通費・宿泊費 | 交際費等 | 移動にかかる交通費や宿泊費など |
・交際費以外で計上すべき費用
| 項目 | 勘定科目 | 具体例と勘定科目 |
| 社内の運動会や旅行※ | 福利厚生費 | 従業員の慰安目的で開催されるイベントや旅行の費用 |
| 社名入りのノベルティ制作費 | 広告宣伝費 | タオルや手ぬぐい、カレンダー、うちわなどの物品を贈与するための費用 |
| 社内会議用の茶菓代 | 会議費 | 社内の会議や打ち合わせで供与するお茶やお菓子、お弁当代など |
| 社内の慶弔費 | 福利厚生費 | 社員の結婚祝いや香典代など |
| 1人あたり10,000円以下の取引先との飲食代 | 会議費 | 日付や人数、参加者氏名、金額(領収書)、お店の情報などを適切に保管しておく必要あり |
※従業員への平等性や金額の妥当性、現金支給ではないなどの条件を満たしている必要があります。
大前提として、交際費として認められるのは、取引先や顧客をもてなすなど、ビジネスに関連する費用のみです。個人的な食費やレジャー費用など、ビジネスと関係ない私的な費用は認められません。加えて、社内の忘年会や会議にかかる飲食代も、交際費等には計上しないのが一般的です。
法人の場合は、交際費とほかの勘定科目との区分は法令等で規定されており、飲食代も、状況によって異なります。個人事業主の場合、法令等の定めはありませんが、ビジネスに関する費用のみを正しく計上することが必須。疑問があるときは、税理士などのプロに相談しましょう。
参考:国税庁「法令解釈通達 第1款 交際費等の範囲」
参考:国税庁「6 第61条の4《交際費等の損金不算入》関係」
交際費等の上限金額について
交際費等の上限金額について
法人の場合、交際費の金額は原則として全額損金不算入になりますが、法人の区分に応じて、一定の金額までは経費(損金算入額)とみなされる措置が設けられています。
・期末の資本金または出資金の額が1億円以下の法人(中小企業)
以下のいずれかを選択します。
1)すべての交際費等を合計し、年間800万円まで。
800万円を超えた金額は損金不算入額として処理します。また、事業年度の月数が12カ月に満たない場合はこの限りではありません。
2)1人あたり10,000円超の「接待飲食費」のうち、50%相当(金額の上限はなし)。
・期末の資本金または出資金の額が1億円超100億円以下の法人
1人あたり10,000円超の「接待飲食費」のうち、50%相当(金額の上限はなし)。
・期末の資本金または出資金の額が100億円を超える法人
交際費等の全額が損金不算入となる。
参考:国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
効率化と公私分離に役立つアメックスの法人カード(ビジネス・カード)
効率化と公私分離に役立つアメックスの法人カード(ビジネス・カード)
交際費の支払いには、会計ソフトと連携可能な法人カードの活用がおすすめです。
事業に関する支出を法人カードにまとめれば、仕事とプライベートの支出を明確に分離し、支出の透明性を保つことができます。間違えてプライベートの出費を計上してしまうなど、ヒューマンエラーの軽減にもつながるでしょう。個人事業主はもちろん、中小企業の場合は、経費精算の手間を省くことができるというメリットもあります。
アメリカン・エキスプレス(アメックス)では法人カードを「ビジネス・カード」と呼んでおり、大手会計ソフトとのAPI連携が可能です。ビジネス・カードでの支出を自動で会計ソフトに取り込むことで、経費計上や勘定科目の振り分けの手間が軽減され、経理業務の効率化を図れるでしょう。
さらにアメックスのビジネス・カードは、ダイニング系の付帯サービスも充実。ビジネスに欠かせない会食にダイニング特典を活用でき、さらに会食の支払いに応じたポイントを獲得できるのも魅力です。
▼法人カード(ビジネス・カード)についてはこちらの記事でも紹介しています
参考:アメリカン・エキスプレス「ビジネス・ダイニング・コレクション by グルメクーポン」
アメックスの法人カード(ビジネス・カード)申し込み時に必要な書類
アメックスの法人カード(ビジネス・カード)申し込み時に必要な書類
アメリカン・エキスプレスのビジネス・カード申し込みは、公式ウェブサイト上からオンラインで行うことができます。
参考:アメリカン・エキスプレス「ビジネス・カード」
法人・個人事業主で申し込みに必要な書類が異なるため、それぞれ必要な書類を紹介します。
・個人事業主の場合
個人事業主がアメックスのビジネス・カードを申し込む際には、以下の書類が必要です。
- 代表者の本人確認書類
本人確認書類として認められるのは、以下の書類です。コピーを提出します。
【本人確認書類一覧】
- 運転免許証
- 運転経歴証明書
- 住民票の写し
- マイナンバーカード(個人番号カード)(表面のみ)
- 在留カード
- 特別永住者証明書
・法人の場合
法人がアメックスのビジネス・カードを申し込む際には、以下の書類が必要です。
- 代表者の本人確認書類
法人であっても、代表者の本人確認書類のコピーの提出が必要になります。本人確認書類として認められるのは、前述した【本人確認書類一覧】と同じです。
法人の確認はアメックスで行いますが、追加で商業登記簿謄本または登記事項証明書のいずれかの提出が求められる場合もあります。
個人事業主・法人ともに、申し込み後アメリカン・エキスプレスによる入会審査が行われます。ビジネス・カードは申し込みからカード受け取りまで個人事業主の場合1週間程度、法人の場合3週間程度の時間がかかるため、余裕を持って申し込みを行うようにしましょう。
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個人事業主/中小企業をサポートする、アメリカン・エキスプレスのビジネス・カード
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アメリカン・エキスプレスのビジネス・カードは、スタートアップからエンタープライズまで世界中のビジネスオーナーに⽀持されています。
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