ニッチ（英語／niche）には複数の意味があり、分野ごとで使用するニュアンスが異なります。たとえば、地学や建築分野では「裂け目」や「くぼみ」を意味し、生物学では「その種に適応した特有の生息場所、生態的な役割（生態的地位）」を示します。能力に応じた「適所」「得意分野」などの意味も有しています。

ビジネス分野で使用される場合は、現在はエアポケットになっている隙間市場を指すことが一般的です。万人受けはしないが一定の需要があり、大手企業がターゲットにしない市場、潜在的な需要はあるが商品やサービスの提供がされていない市場を主戦場としたビジネスにおいて、「ニッチ市場」「ニッチビジネス」「ニッチ産業」のように使われます。ニッチ市場は、その規模の小ささから、ベンチャー企業が進出しやすい市場とも言われています。

ニッチと混同されやすい表現に、「マイナー」があります。どちらも、ビジネスとしては扱う規模が小さいことから、ニッチはマイナーの類語、同義語だと勘違いされやすいですが、厳密には意味が異なります。メジャーの対義語であるマイナーは「認知度が低い」「知っている人の数が少ない」という意味です。

一方、ニッチの対義語は、「マス」「大衆」などです。ニッチには「規模は小さくても確かな需要がある」「まだ大衆が注目してはいないが価値を認めている人がいる」という、個性の強さに力点がおかれています。