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ビジネスパーソン向けコラム

 

~「チーム・バチスタ」シリーズ作者が診る~

ストレスと上手くつきあうためのマインドセット

(前編)

 

  海堂 尊(かいどう・たける) 

1961年、千葉県生まれ。作家・医学博士。外科医、病理医を経て、2006年に「チーム・バチスタの栄光」で第4回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、作家デビュー。「バチスタ」シリーズは累計発行部数1000万部を超える。同シリーズ最新刊は『コロナ黙示録」(宝島社)。

 

 

 

今なお続く感染症との戦いを、医師であり作家でもある海堂さんはどう見ているのか―。

誰もが直面するストレスとの向き合い方について語っていただきました。

生きている間にできることは限られている

――昨年5月の緊急事態宣言下で「チーム・バチスタ」シリーズの最新刊を書き上げられたと聞きました。ご自身の環境にも変化はありましたか?

 

もともと執筆は一人でやるものなので、特に大きな変化はないです。気軽な打合せがなくなったくらいかな。ただこの作品は2ヶ月で一気に書き上げて、仕上げまで持っていったので、僕の作家人生でも初体験でした。(緊急事態宣言下だったので)皆も遊べないので悔しいと思うこともなく、自分は世の中で一番生産的なことをしていると思っていました(笑)。

 

「あれも出来ない、これも出来ない…」とストレスを感じていた人は多いでしょうね。平常心が乱され、ストレスの原因になるひとつはタブーです。「これはダメ!」というものは社会に配慮しているようで、実は自分達の共同体に配慮しているだけだったりします。無意味な差別を生み、何が本当にダメなのかをわからなくしてしまうこともあります。

 

僕は医療現場にいたこともあって、「人はいずれ必ず死ぬのだから、生きている間にできることをしよう!」といった思いが人より強いかもしれません。でも、そう考えることによって、ちょっと前向きな気持ちになれるんじゃないかと思います。

 

 

ダメ出しをポジティブ変換させるコツ

――タブーが生み出すストレスへの対処法、などはありますか?

 

医療もそうだけど、『人のためになること』が社会のベースになれば、いろいろなことがストレスではなくなるのではないかな。たとえば、会社員の方が上司にダメ出しされて進まないことがあったとします。自分目線で見るとそれはストレスですが、「これが進めば会社や社会のためになるのに」という視点に変えると、進まない原因に対しても、「自分の力をもっと発揮して解決するぞ」というポジティブな捉え方になります。自分を幽体離脱させてエクトプラズムの視点で見てみるイメージ (笑)。

 

そもそも「利益のため」「俺のため」という考え方は狭い。そのために社会的に間違ったことをやらなきゃいけなくなるから、タブーが生まれストレスになると思うのです。

 

 

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安易に答えを求めずに、まずは自分の頭で考えてみる

――自分のことで精一杯になると『人のために』という考えをもつのは難しそうですが。

 

小さい頃は誰でも自分を中心に世界が回っていると思っています。でもそれが大人になる過程で相対的になり、どうも自分はワンオブゼム(多くの中のひとつ)にすぎないということに気づいていく。でも、どこかで自分はやはり特別な存在だと思っていたい。だったら自分以外のみんなもそう思っているだろうから、特別な存在である人たちのために働いているんだ、と考え方を少し変えてみてはどうでしょうか。

 

何かうまくいかないことに対して試行錯誤を繰り返してきて、その都度、どう考えて行動していくのかで変わっていく。その積み重ねが大切なんです。ただし、ストレスから早く逃れたいという思いで、安易になんでもすぐ得ようとするのは思考停止だと思います。簡単に手に入る情報が多いからこそ、自分自身で学んで吟味することが重要なのではないでしょうか。