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ビジネスパーソン向けコラム

 

~「チーム・バチスタ」シリーズ作者が診る~

ストレスと上手くつきあうためのマインドセット

(後編)

 

  海堂 尊(かいどう・たける) 

1961年、千葉県生まれ。作家・医学博士。外科医、病理医を経て、2006年に「チーム・バチスタの栄光」で第4回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、作家デビュー。「バチスタ」シリーズは累計発行部数1000万部を超える。同シリーズ最新刊は『コロナ黙示録」(宝島社)。

 

 

 

今なお続く感染症との戦いを、医師であり作家でもある海堂さんはどう見ているのか―。

誰もが直面するストレスとの向き合い方について語っていただきました。

「良いストレス」と「悪いストレス」がある

――この状況下で、ストレスを蓄積されてしまう方も多くいます。

 

ストレスって悪いことと認識されていますが、まったくストレスがないと人間は死んでしまうのではないでしょうか。不愉快なことがノイズになって引っかかるからこそ、人は覚醒していられる。完璧な大学教授の講義だと眠くなる現象と真逆です(笑)。

 

本来、物事には良い面と悪い面が混在しているのが正しい姿で、コレステロールにだって善玉と悪玉がある。第三者と生きている以上、自分の思いどおりになることばかりではないので、どうしてもそこにストレスが生まれてしまいます。もちろん過度なストレスからは逃げるべきですが、ある程度のストレスは自分の生活に彩りを与えてくれるものと受け止めてみたらどうでしょう。ビジネスにおける様々な障壁が、自分を覚醒させて高めてくれるといった具合に。

 

 

自分の認識と現状に齟齬が生まれるときに注意

―― 「病は気から」と言います。心と体の関係で気をつけるべきことはありますか?

 

心と体はまさに車の両輪、切っても切り離されないものです。心理的要因で病気にもなりますし、病気によって心も落ちこみます。その要因は様々ですが、今は間違いなく大きな環境変化に適応しきれていない、ということも大きな要因のひとつであるのは間違いないと思います。とにかく劇的に変わりましたから。例えば、マスクをつけることが社会ルールの一つになっていますが、ほんの2年前の小説では日常でマスクをしている描写なんてない。当時から見れば今はまさにSF小説そのもので、これまでの自分の認識と現状に齟齬が生じてしまう。そこに固執しすぎるからストレスになるのです。

 

同調圧力が悪いというような言われ方もしますが、人間が社会生活を営む限り同調圧力はなくならない。だったら環境の変化を別視点で捉えた発想をしてみるのはどうでしょう。マスクなしの世界を目指してウィルスと戦うヒーローを想像してみる、なんていうのも楽しくないですか?

 

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自分の感情に素直になること、怒りも大事

――昨年の緊急事態宣言下で書かれた「チーム・バチスタ」シリーズ最新刊では、海堂さんの中の怒りがこぼれ落ちたと聞きました。怒りの感情についてはどう思われますか?

 

実は怒りの感情ってとても大事なんです。最近の日本人は昔と違って怒るのが下手。感情をあらわにすることを大人げないと刷り込まれているのか、我慢しすぎてしまう傾向にあります。抑制のきかない迷惑老人みたいな怒り方はダメですが、自分の感情に素直になることは大切です。ストレスを感じて鬱になるのも感情を殺して怒らない人が多い。不当だと思ったことにはちゃんと怒らないと良くないです。

 

当然、自分の感情を出すことによって反発も生まれるでしょうが、周りに惑わされないことが重要です。その思いが本気であれば、誰からもあまり文句は言われないし、SNSで尻馬に乗っているだけの人は無視すればいいのだから。「自分一人怒ったってしょうがない…」なんて思わないで、怒りの気持ちを思う存分、発散してみてください。それに同意してくれた人の視点が少しでも変われば、会社や世の中だって変わるかもしれない。皆さんには右顧左眄せずに、自分の思いをどんどん出していってほしいですね。

(終)