企業間カード決済の導入事例
水産卸 × スーパー
現金主義に風穴を開けた、 仕入れのキャッシュレス化
現金主義に風穴を開けた、 仕入れのキャッシュレス化
企画制作/北海道新聞社営業局
北海道・札幌を拠点に水産物の仲卸を行う一鱗共同水産と、地域密着型の食品スーパーを展開する高西商店。この2社の間で、新たに導入された「ビジネス・カードによる仕入れ決済」が、仕入れ側・販売側双方に思わぬ効果をもたらしている。
キャッシュフローの改善に加え、業務効率の向上、さらには新たな取引先との接点創出にもつながりつつあるこの取り組み。その背後には、決済インフラとしてのアメリカン・エキスプレス(以降アメックス)の存在があった。現場のリアルな声から、企業間カード決済がもたらす地方流通の変革を追う。
一鱗共同水産株式会社取締役副社長の本間雅広さん
札幌市中央卸売市場にルーツを持つ「一鱗共同水産株式会社」。鮮度にこだわった水産物を仲卸として提供している同社は、日々多くの飲食店や小売業者に対して商品を供給している。特に札幌市中央卸売市場は道内の流通拠点であり、取扱量・スピードともに求められるハードな現場だ。そんな環境で、アメックスの企業間カード決済を導入した背景には、「取引先のキャッシュフロー改善を後押ししたい」という想いがあった。
「市場の取引ではカード決済は難しいと思っていた」と語るのは、同社取締役副社長の本間雅広さん。仕入れ金額が日常的に高額になる業界において、これまでカード利用は敬遠されてきた。しかし、アメックスの営業担当者から企業間カード決済の説明を受けたことで、導入への視界が拓けたという。
「カードで支払うことで、取引先のお客様にポイント※1が貯まるのは大きなメリットで現金取引と比べても明らかな利点がある。私が逆の立場でも絶対に導入しますね」と本間さんは語る。
全日食チェーン※2の中でこのカード決済を最初に導入したのが、札幌市北区で地域密着型スーパー「クーリッチ」を展開する有限会社カネ忠高西商店だ。代表取締役の高西邦明さんは、買い物難民と呼ばれる高齢者が多く住む地域で店舗を運営する中、キャッシュレスのニーズと日々の業務負荷に課題を感じていた。
「今や売上の3割以上がキャッシュレス。にもかかわらず、仕入れに関しては現金払いが基本。仕入れ後に店長へ現金を渡すなど、非効率なやりとりが業務負担になっていました」。その煩雑さは、仕入れのタイミング調整や現金の準備時間、手作業による経費処理など、店舗全体にわたっていたという。
有限会社カネ忠高西商店代表取締役の高西邦明さん
そんな時、一鱗共同水産との会話の中でカード決済の話題が出て、すぐに興味を持った。「最初は不安もありましたが、実際に導入してみると驚くほどスムーズで、仕入れ先との関係性もよりフラットになったと感じています」と高西さん。
導入後は大きな変化があった。現金を扱う頻度が減り、仕入れ担当者への現金受け渡しも不要に。業務終了後に現金を準備する時間も不要となり、従業員の退勤時間も早まった。「働き方改革の面でも、非常にありがたい効果がありました」。また、繁忙期などで複数店舗の管理が必要な際にも、決済の一元管理が可能になり、経営者としての判断スピードも格段に上がったという。
一鱗共同水産にとっても、カード決済は取引の“質”を変えるものになっている。「従来の現金回収や与信管理の負担が軽くなり、営業も本来の提案業務に集中できるようになりました。カード会社を通すことで決済リスクが軽減され、新規取引先とも安心して契約できる」と本間さん。特に個人飲食店や未法人の事業者との取引において、カード決済が大きな信頼材料になっているという。
こうした取り組みが、地域内で少しずつ広がりつつある。「魚だけでなく、酒、野菜、肉など、あらゆる仕入れがカードでできるようになれば、ポイントも貯まるし、経費精算も簡素化される。貯まったポイントを活用して社員旅行だって夢ではない※3」と高西さんは笑う。
地方にこそ必要な仕組みとして、
キャッシュレスを広げたい
地方にこそ
必要な仕組みとして、
キャッシュレスを広げたい
高西商店クーリッチでは、お客さんから電話注文や配達を受ける際の支払いにもカード決済を活用する構想が進行中だ。「高齢者の中にもキャッシュレスに対応する人は増えてきた。電話注文でも現金のやりとりをなくせれば、スタッフのストレスも減らせる」と話す。
さらに企業間カード決済の導入を単なる業務改善にとどめず、地域課題の解決に役立てようとしている。北海道の過疎地では、高齢化と物流難が深刻な課題。買い物に行けない住民が増える中で、商店の役割は「販売」だけでなく「生活支援」へと広がっている。
高西さんは、北海道大学の学生と連携してタブレットを活用した買い物支援アプリの開発を進めており、行政とも協力して持続可能な仕組みづくりに取り組んでいる。「まずは札幌でモデルをつくり、他地域にも広げたい。その中でキャッシュレスの導入は大きな鍵になります」と語る。
一方の本間さんも、仲卸としての役割を見つめ直している。「中間業者=余計な存在と思われがちな時代に、我々は価格以上の価値を提供しなければいけない。決済や配送、人的ネットワークなど、提案力も問われるようになっている。スキマバイトアプリなどの外部サービスを活用して、人材面の課題解決にも挑戦しています」。
いずれの立場にとっても、企業間カード決済の導入は「手段」ではなく「仕組み」として活用されつつある。地域の小売店と中卸、そしてカード会社の三者がそれぞれの立場で価値を感じ、支え合うことで、業界や地域を超えた新しい流通の形が生まれようとしている。
現金主義が根強い水産業界において、アメックスの企業間カード決済サービスは、新しい可能性を開く起爆剤となっている。両者の取り組みは、北海道という広大なフィールドで、キャッシュレスというインフラを地域の未来に結びつける試金石だ。
※1 メンバーシップ・リワード®のポイント
※2 地域のミニスーパーや個人商店の経営者からなるボランタリーチェーン
※3 ポイントを利用した際の会計処理および税務上の取り扱いについては税理士等へご確認ください。
掲載内容は北海道新聞デジタルに掲載された記事広告を抜粋・改編したものです。