【税理士監修】 中小企業の会計ルールとは?
中小会計要領と中小会計指針の違い

 

 

 

 

【税理士監修】
中小企業の会計ルールとは?
中小会計要領と
中小会計指針の違い

中小企業の会計ルールにはどのような種類があるのか気になる経営者の方も多いのではないでしょうか?
この記事では、中小企業の会計ルールである「中小会計要領」「中小会計指針」の違いや、中小企業会計を適用するメリットについて 解説します。

中小企業向けの会計ルールとは

中小企業向けの
会計ルールとは

中小企業向けの会計ルールには、主に「中小会計要領」「中小会計指針」があります。
ここでは、ふたつの違いについて確認します。

中小会計要領(中小企業の会計に関する基本要領)とは

中小会計要領(中小企業の会計に関する基本要領)は中小企業の実態に即し、簡単に利用できるよう策定された会計ルールです。「中小企業の経営者が理解しやすい」といった視点から、中小企業団体や金融関係団体などが主体となって設置された「中小企業の会計に関する検討会」(中小企業庁や金融庁などの協力)によって作成されています。

中小会計要領の主な特徴

中小会計要領の主な特徴について解説します。

簡単に利用できる

以下の項目に該当する中小企業の場合、後述する中小会計指針と比較して簡単に会計処理できます。

  • 経理人員が少なく、高度な会計処理に対応できる十分な能力や経理体制を持っていない
  • 会計情報の開示を求められる範囲が、 取引先、金融機関、同族株主、税務当局等に限定されている
  • 主に法人税法で定める処理を意識した会計処理が行われている場合が多い

誰でも利用できる

中小会計要領は、簡単な会計処理を行うことが適当と考えられる中小企業の利用を想定して策定されています。ある程度の規模の中小企業が利用する中小会計指針と違い、すべての中小企業で利用できます。

中小会計指針(中小企業の会計に関する指針)とは

中小会計指針は、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会などの団体により策定された中小企業の会計処理等に関する指針を指します。会計専門家が役員に入っている「会計参与設置会社」が採用することが適当とされているなど、中小会計要領よりルールは厳密です。

中小会計指針の特徴

中小会計要領には設けられていない中小会計指針の項目である「税効果会計」「組織再編の会計」について確認します。なお、中小会計要領ではこれらの項目は設けられていません。

税効果会計

税効果会計

会計上の利益と税務上の課税所得には違いがあるため、発生する税額にも差異が発生します。
中小会計指針に取り入れられている項目である税効果会計では、税引前当期純利益に税率をかけた金額と実際の法人税等の金額とのずれを調整して、税引前と税引後の当期純利益を対応させます。
税効果会計を適用する主なメリットは、実際の財政状態や経営実績を知ることができる点です。

会計上の利益と税務上の課税所得には違いがあるため、発生する税額にも差異が発生します。
中小会計指針に取り入れられている項目である税効果会計では、税引前当期純利益に税率をかけた金額と実際の法人税等の金額とのずれを調整して、税引前と税引後の当期純利益を対応させます。
税効果会計を適用する主なメリットは、実際の財政状態や経営実績を知ることができる点です。

なお、会計と税務の差異は、一時差異と永久差異に分類されますが、税効果会計で調整が認められているのは一時差異のみとなります。

一時差異

会計の認識や計上時期などにより発生する差異で、将来的に解消されるものが該当します。
将来減算一時差異(解消するときに課税所得からマイナスされる・減価償却超過額など)と、将来加算一時差異(解消するときに課税所得にプラスされる・固定資産圧縮積立金など)に分けられます。

永久差異(税効果会計の適用対象外)

会計上と税務上の基準(考え方)の違いなどにより発生する差異で、将来的に解消されないものが該当します。永久差異に該当する例としては、交際費等の損金不算入額、寄附金の損金不算入額などがあります。

組織再編の会計

中小会計指針に取り入れられている項目である組織再編に関する会計は、企業結合に関する会計と、事業分離に関する会計の2つに大きく分けられます。
企業結合が行われた場合は、取得、共同支配企業の形成、共通支配下の取引などの3つの分類に基づき、会計処理が決定されます。事業分離が行われた場合は、分離元企業にとって移転した事業に対する投資が継続しているか否かに基づき、会計処理が決定します。

中小会計要領のチェックリスト

中小会計要領の項目が確認できる「チェックリスト」(日本税理士会連合会が作成)を利用することで、自社の決算書作成における会計処理が中小会計要領に従った処理となっているか確認できます。詳細は、中小企業庁のホームページでご確認ください。

 

中小企業庁: 中小会計要領の活用に対する支援策 (外部ウェブサイトへ移動します)

中小会計要領と中小会計指針の違い

中小会計要領と
中小会計指針の違い

中小会計要領と中小会計指針の主な違いについて、項目別に確認します。

【制定年月】
・中小会計要領: 2012年2月
・中小会計指針: 2005年8月

 

【対象となる中小企業】
・中小会計要領
中小会計指針と比較して簡単な会計処理をすることが適当であると考えられる、規模が小さい中小企業。

・中小会計指針
会計専門家が役員に入っている会計参与設置会社のような、ある程度の規模がある中小企業。

 

【会計基準など】
・中小会計要領
中小会計指針と比較して、簡潔・簡単な会計処理となっている。また、中小会計指針で取り入れられている税効果会計や組織再編の会計などの項目は取り入れられていない。

・中小会計指針
中小会計要領と比較して、会計ルールが厳格化されている。よって、一定の水準を保った会計処理となっている。また、中小会計要領で取り入れられていない、税効果会計や組織再編の会計などの項目についても取り入れられている。

中小企業会計を適用するメリット

中小企業会計を
適用するメリット

中小企業会計を適用する主なメリットについて見ていきます。

自社の経営状態を正しく把握できる

中小企業会計を適用することによって、企業の財政状態や経営成績などが適切に表示されます。
よって、経営者が自社の経営状態などを正しく把握できるようになります。

金融面での支援

日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」など、貸付利率が優遇されている融資制度が利用できます。
また、地方銀行や信用金庫などが中小企業向けに用意している、有利な融資制度の利用も可能となります。

政策面での支援

中小企業庁などが実施する助成金・補助金などの事業に応募する際、審査の過程において加点される場合があります。
結果、公募される助成金・補助金を受けられる可能性が高くなるでしょう。

中小会計要領と中小会計指針を理解し、適切な選択をする

中小会計要領と
中小会計指針を理解し、
適切な選択をする

中小会計要領は規模が小さい中小企業でも、比較的簡単に利用できる会計ルールです。
また、金融面や政策面の支援といった視点からも、中小会計要領 を利用するメリットは大きいといえます。
中小会計要領と中小会計指針の違いを理解し、会社の実態に適した中小企業会計を選択することが推奨されています。

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公開日:2022年4月28日

 

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【この記事の監修者】

【この記事の監修者】

黒瀧泰介
黒瀧泰介

税理士法人グランサーズ共同代表
公認会計士・税理士

<略歴>

<略歴>

青森県弘前市出身。早稲田大学商学部卒。
監査法人トーマツにて会計監査に従事し、税理士法人山田&パートナーズで相続コンサルや組織再編コンサルなど、法人個人問わず幅広く税務コンサルティング業務に従事。
2015年税理士法人グランサーズを開設。
スタートアップ企業からIPO(上場)準備支援まで、あらゆる成長段階の企業のサポートをしており、
税務会計顧問にとどまらない経営を強くするためのコンサルティングサービスに中小企業経営者の信頼と定評を得ている。

 

青森県弘前市出身。早稲田大学商学部卒。
監査法人トーマツにて会計監査に従事し、税理士法人山田&パートナーズで相続コンサルや組織再編コンサルなど、法人個人問わず幅広く税務コンサルティング業務に従事。
2015年税理士法人グランサーズを開設。
スタートアップ企業からIPO(上場)準備支援まで、あらゆる成長段階の企業のサポートをしており、
税務会計顧問にとどまらない経営を強くするためのコンサルティングサービスに中小企業経営者の信頼と定評を得ている。

 

●税理士法人グランサーズ
https://grancers.co.jp/(外部ウェブサイトへ移動します)

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