クリーンテック業界のスタートアップは今、文字通り舞台の中心に立っています。この業界のスタートアップの創業者たちは、気候変動と新型コロナウイルス感染症のパンデミックがもたらす複合的な課題の解決に取り組もうとしています。
SparkChargeにとって、その舞台はテレビのスタジオでした。ポータブル電気自動車(EV)充電システムを提供する同社は2020年、テレビ番組『Shark Tank』に出演する投資家マーク・キューバン(Mark Cuban)氏とロリ・グライナー(Lori Greiner)氏から100万米ドルの投資を約束されました(*外部英語サイトへ移動します)。SparkCharge社は、クリーンテックのスタートアップが数多く所属するLos Angeles Cleantech Incubator(LACI)コミュニティの一員です。LACIは、ロサンゼルス市と市の水道電力局が「インクルーシブなグリーン経済」を促進するために設立した、非営利団体の経済開発プログラムとして知られています。
LACIは10月、2年間のインキュベーション・プログラムに参加する2021年秋期コホートとして、「クリーンエネルギー/クリーンテック/サステナビリティ」分野における10社のスタートアップを選出(*外部英語サイトへ移動します)しました。これらのスタートアップは、チーム開発、財務の安定性、環境への影響、外部資本の確保を戦略化する6カ月のカリキュラムに参加することになります。
LACIのコホートなどに属する多くのスタートアップの創業者が都市や公共部門との提携を目指し、模索する中で頻繁に遭遇する課題があるとLACIのCEOであるマット・ピーターセン(Matt Petersen)氏は述べています。中でも大きな課題として「1. 意思決定者と正面から向き合い、調達システムを通過するために最後まで関わらなければならない、2. 助成金の支払いや設備投資を必要とする償還契約のリードタイムが長い、など契約条件がスタートアップにとって面倒であること」の2つを指摘しています。
ピーターセン氏は、都市や公共部門のリーダーに対し、「イノベーションを街路や歩道、コミュニティに投影させてからスタートアップに対応するのではなく、スタートアップからイノベーションを引き出すように思考を逆転させること」を助言し、例としてライドシェアリングのプラットフォームを挙げました。
以下に秋期コホートのスタートアップ10社を紹介します。7社はクリーンエネルギー、2社は循環型経済、1社はゼロ・エミッション・モビリティを扱っています。
- Delphire(*外部英語サイトへ移動します):山火事の防止と封じ込めをリアルタイムの情報提供により支援。同社のセンチネルシステムは、山火事の発生防止のため電力供給ラインを監視してメンテナンスの問題を検出します。
- Energos(*外部英語サイトへ移動します):「分散型エネルギー負荷と分散型エネルギーリソース間のエネルギーフローを自動化する」ために、IoTとエッジ人工知能分析をベースとするエンド・ツー・エンドのプラットフォームを提供。冷暖房負荷によるエネルギー効率を改善し、地域の太陽光発電と電力貯蔵、およびEVバッテリーの充電管理を最適化することで、大企業がCO2排出量ゼロの目標を達成できるプラットフォームを設計しています。
- Evolectric(*外部英語サイトへ移動します):交通手段の電化とバッテリー技術を専門とし、他のスタートアップや既存の企業と提携して、電化戦略を開発。バッテリーテクノロジー、ラピッドプロトタイピング、電動モビリティソリューションで、eモビリティの発展に貢献しています。
- Flick(*外部英語サイトへ移動します):地元の電力会社が提供する時間単位の電気料金信号を利用し、より多くの情報に基づいて各家庭がエネルギー消費について選択できるよう支援しています。同社のライトスイッチは、エネルギー料金が最も高い場合や、炭素を大量に排出している場合に、カラーディスプレイとサウンドによって知らせてくれます。
- Humble:大規模なセットを用いたエンターテインメント作品の制作時に不可欠な電動カートを製造およびレンタルする事業を展開。このカートがあれば、重い機材でも運搬が可能になり、クリーンエネルギーの促進につながります。
- Joule(*外部英語サイトへ移動します):「自然界にすでに存在する」ものを模倣するプロセスにより、海洋水や他の特定の水域を浄化して酸素濃度を高め、安価なエネルギーを生み出しています。
- Meterleader(*外部英語サイトへ移動します):PG&E、Southern California Edison、San Diego Gas & Electricの各電力会社が提供するリアルタイムのエネルギーデータを使用し、省エネをゲーム形式で実証。省エネチャレンジに参加するとインセンティブが得られる仕組みになっています。
- Olokun Minerals:海水を淡水化する際の排水から海洋鉱物を持続的に収集することで、再生可能な電力源と将来の供給変化に対応できる重要化合物を生成し、「飲料水の安全に関するグローバルな問題の解決」を目指しています。
- Rewilder(*外部英語サイトへ移動します):廃棄物を埋め立て地に運ぶのではなく、新たな製品の製造に使用可能な材料にアップサイクルする、サステナブルなデザイン企業です。
- SolarFi(*外部英語サイトへ移動します):企業やレストラン、地方自治体などの団体向けに、太陽光発電用の透明なエンクロージャーやポッドを提供。エンクロージャーにはWi-Fiや冷暖房が備わっています。
この記事は、Utility DiveのCailin Croweが執筆し(初出日:2021年10月25日)、アマナのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、licensed_content@amana.jpにお願いいたします。