Geotabの創業者兼CEOであるニール・コーズ氏
コネクテッド・トランスポーテーション(*インターネットへの常時接続機能を備えた輸送)が進歩したことで、より安全でサステナブルな未来が有望視できるようになりました。世界中のIoTに関連する企業は、「デジタル化の10年間(Digital Decade)」(*外部英語サイトへ移動します)として設定された2030年までに、テクノロジーを活用してこの目標を達成しようと努めています。多くの企業が取り組みを進める中、IoT業界で大きく躍進している中心的企業が、Geotab(*外部英語サイトへ移動します)です。IoTとコネクテッド・トランスポーテーションにおける国際的なリーダーである同社は、ABI Researchが発表する商用テレマティクス・プロバイダーにおいて2019年と2020年の2年連続で第1位(*外部英語サイトへ移動します)に選ばれました。
Geotabは、車両管理能力を向上させ、データに基づいた意思決定に役立つ実用的なインサイトを企業に提供します。Geotab独自のオープン・プラットフォーム・ソリューションは、中小企業から大企業まで、どんな運用ニーズを持つ企業でも、Geotabのデータを任意のシステムに統合することを可能にしました。これにより、パートナー企業は広範なエコシステムを構築できるようになり、連携・協力の土壌が育まれます。
本誌e27は、Geotabの創業者兼CEOであるニール・コーズ(Neil Cawse)氏にインタビューを行い、会社の設立から業界トップとなった経緯などについて、詳細を伺いました。
テクノロジーを活用して企業の課題を解決する
電気工学を学んだコーズ氏は、ソフトウェアとテクノロジーへの溢れるほどの情熱を胸に、テクノロジーを活用してビジネスにおける問題解決の新しい機会を常に探し求めています。90年代に、将来、GPS(*衛星利用測位システム)を軍隊以外の人が利用することを想像していた人は誰もいなかったでしょう、と同氏は話します。「当時、私たちはこのGPSという新しいテクノロジーにビジネスニーズがあることは認識していました。ですので、セキュリティを損なうことなく、ビジネスに活用するためにどうすればいいのか、さまざまな角度から探りました。今日でもセキュリティがGeotabにとって最優先事項であることは、依然として変わっていません」とコーズ氏は述べています。適切なセキュリティ対策を講じた結果、このテクノロジーは優れたソリューションとなりました。「市場調査を幅広く行った結果、フリートの監視が運輸業界や物流業界だけでなく、あらゆる業界の重要な課題の解決につながるとわかりました」
2000年に会社を設立したきっかけは、ビジネスパートナーと共にマーケットにあるギャップに気づいたことだった、とコーズ氏は話します。そのギャップとは、フリート管理企業や運輸会社のオーナーが、ドライバーの安全性と効率を監視し、改善に繋がるツールを持っていないことでした。そこで、フリート管理を行うためのユーザーフレンドリーなテクノロジーソリューションには、絶好のビジネスチャンスがあると考えたのです。現在、Geotabのソリューションを活用しているコネクテッドカー台数は250万台を超えており、北米、欧州、ラテンアメリカ、およびアジア太平洋全域の10を超える都市に拠点を構えています。
コーズ氏は、日々400億件以上のデータを処理する企業として、データを確実に保護し、世界をより良くするためにデータを活用することに非常に大きな責任を感じている、と話します。「Geotabでは『セキュリティファースト』の原則を採用しており、お客様やパートナー企業を守るために、セキュリティのメカニズムとプロセスを絶えず見直し、進化させ、改善しています」
世界中の運輸業界に存在するギャップにGeotabが対処
コーズ氏は、Geotabのテクノロジーによって、3つの要素が提供できると話します。まず、運輸業界におけるギャップや課題を解決するためには、「人」が最も価値のある要素だと説明します。人が適切なタイミングで適切な場所にいるようにすることは、あらゆるビジネスにとって重要であり、その管理をサポートする技術として、Geotabのコネクテッド・フリートが役立ちます。2番目の要素は安全性です。人間の命を守ることが何より肝心であり、ドライバーの位置を特定して監視することで、ドライバーの安全性を確保することができます。3番目の要素は、ドライバーがコンプライアンス指標を順守しているかどうかを確認できることです。Geotabのテクノロジーを使用することでドライバーの追跡が容易になり、例えばドライバーが休憩を取るまでの走行時間の設定や確認など、フリートの法規制の順守を促進しながらドライバーの安全を確保することができます。
さらに、パンデミック後の世界ではサステナビリティがあらゆるビジネスの中心になることが複数の研究で示唆されています。運輸業界もこの動向の例外ではありません。現在Geotabをはじめとする多くの企業は、よりサステナブルなビジネスモデルの実現を義務付けています。多くの企業がCO2排出目標を設定しているなか、Geotabの目標は、パリ協定で要求されている目標よりも10年早い、2040年までにCO2排出量ネットゼロを達成することです。よりサステナブルな経営を実践すると独自に目標設定するだけでなく、さまざまな企業が地球のためにより良い事業活動ができるような支援もしています。例えば、車両から得られるデータは、アイドリングなどの非効率をフリート全体にわたって特定し、燃料管理を改善してCO2排出量を最小限に抑えるのに役立ちます。さらにこのデータにより、フリートのゼロエミッション車への移行をシームレスかつ効率的に管理できます。データの活用により、業界一丸となってより良い、よりサステナブルな未来に向かって進むことができます。
東南アジアにおける狙いと業界の動向
消費者動向や各種マーケットに関する調査データなどを提供する世界最大級のプラットフォームStatista(*外部英語サイトへ移動します)によると、世界における人口密度の高い都市のトップ10のうち5都市がアジアにあります。そのためアジアの国々は、より効率的でサステナブルな輸送方法を模索しており、テレマティクス(*車両に機器を搭載し、通信システムを利用したサービス)の利用を加速させるための土台作りとなる政策の実施に乗り出しました。例えば、マレーシアは2020年に国家自動車政策を発表し、次世代自動車生産の域内ハブになるという目標を定めました。タイは2030年までに国内の自動車生産に占めるEV(電気自動車)の割合目標を30%以上とする計画を打ち出し、インドネシアは2025年までに同じく国内の自動車生産に占めるEVの割合を20%とすることを目標としています。
また、アジアの国々では、電動自動車用のバッテリー製造や充電ステーション建設の計画が公に発表(*外部英語サイトへ移動します)されています。そのうえ、アジアの市場は今、サステナビリティに向けて発展する機が熟しています。アジア地域のEV購入予定者の半数以上が、EV購入に際して従来の自動車より少なくとも21%以上高い金額を支払う意思があると報告(*外部英語サイトへ移動します)されています。
さらに、東南アジアでのeコマースの売上高は2025年までに1,720億米ドルに達すると予想(*外部英語サイトへ移動します)されており、物流、とくにラストマイル配送部門に大きなビジネスチャンスが広がっています。アジア地域がその課題を克服して運輸業界の需要を増加させるのに一役買うのがGeotabのテレマティクスです。そのため、Geotabは2021年1月に東南アジアへの参入を発表(*外部英語サイトへ移動します)し、シンガポールに新しいオフィスを開設しました。同社はこの新しいオフィスを拠点に、継続した成長を期待できる経済とクリーンでスマートな輸送の積極的なアプローチを目指す東南アジア市場との関係を深めることを目指しています。
Geotabのソリューションは、生産性、フリートの最適化、サステナビリティ、安全性、拡張性、コンプライアンスの6つの分野における事業活動を改善し、より効率的なフリート管理の実現の一助となります。
この記事は、e27 のSURABHI PANDEYが執筆し(初出日:2022年1月10日)、アマナのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、licensed_content@amana.jpにお願いいたします。