農家や食品生産者をB2C(Business to Consumer)、B2B(Business to Business)の顧客に直接つなげるベトナムのアグリテックeコマース・プラットフォーム「フードマップ(FoodMap)」は、プレシリーズAラウンドで当初目標額を上回る300万米ドルを調達しました。この出資の先導的存在だったのは、ビーネクスト(Beenext)やブルペス(Vulpes)でした。この他に、アセンド・ベトナム・ベンチャーズ(Ascend Vietnam Ventures)や、既存株主であるウェーブメーカー・パートナーズ(Wavemaker Partners)も出資しています。
近年ベトナムでは製造業や技術分野における成長が著しいものの、依然として主事業は農業であり、人口の約20%が農家または農業関連の分野に従事しています。しかし、いくつかの重大な問題に直面しています。生産者と消費者との間には複数の中間業者が存在し、消費者に商品が届くまでに価格は6、7倍に上がっています。また、食品生産現場での品質管理が不十分であるため、そのことが輸出価格の低下と消費者からの信頼を損なうことにつながっています。
フードマップは、こうした問題に、テクノロジーを導入して取り組んでいます。
2020年にファム・ゴック・アイン・トゥン(Pham Ngoc Anh Tung)氏が立ち上げたフードマップは、農家や卸売業者向けのバックエンド管理システムを使用して、目に見えないサプライチェーン全体に存在する需要と供給の間のギャップを解決することを目指しています。
「フードマップは、生産プロセスの最適化、ベトナムの食品の価値向上、サプライチェーン全体の透明化によってお客様からさらなる信頼を得て、生産者と消費者の両方に役立つ企業になりたいと考えています。当社では現在、生鮮食品、シーフード、厳選された肉、調理済み食品、保存食品に力を入れています」とトゥン氏は言います。
フードマップは現在、300以上もの農家および卸売業者からベトナムに生産品を供給しており、このシステムにより顧客はeコマース・プラットフォームとモバイルアプリを介してフードマップの商品を購入できます。フードマップに掲載されているすべての商品はQRコードで管理されています。
農家にとって、フードマップは複数の仲介業者層による非効率的な価格のつり上げを減らし、産直品の収益を約10~20%増加させています。さらに、将来の生産計画に役立つ洞察や分析を提供しています。
卸売業者については、各業者のブランドやストーリーをオンラインで紹介しており、売上のデジタル化にも着手しています。例えば、総販売量の最大50%をフードマップが占めている老舗ブランドでの実績もあります。また、同社によって品質管理が向上し、顧客は新たな商品を見つけ出すことができます。
「フードマップ社が他のフードテック企業と一線を画す要因の1つは、消費者の嗜好を深く理解し、プライベートブランドを展開させていることです。これにより高い利益率、ブランドロイヤルティ、市場優先性を確保でき、競争上の優位性が生まれます」とトゥン氏は付け加えます。
フードマップは現在、紅茶とコーヒー、果物、調理済み食品、チョコレート、シーフードの5つのカテゴリでプライベートブランド商品を展開しています。いずれもフードマップの人気商品で売れ行きも好調です。
同社は現在、ホーチミン市の2カ所の倉庫で冷蔵保管を行っており、顧客満足度を向上させるため、ほとんどの商品は24時間以内に配送されます。
フードマップは、トラディショナルトレード(伝統的小売)とモダントレード(近代的小売)双方の店舗からの需要が高まっていることから、B2Bビジネスの割合を増やす計画を立てています。
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この記事は、e27のSainul Abudheen Kが執筆し(初出日:2022年1月5日)、アマナのパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせは、licensed_content@amana.jpにお願いいたします。