全6回にわたって、クラウドファンディングの魅力や事業で有効活用するコツなどをご紹介してきました。
今回はこれまでの総括として、クラウドファンディングを成功させるための5つのポイントを、クラウドファンディング総合研究所 所長の板越ジョージ氏にまとめていただきました。
クラウドファンディング総合研究所 所長
ニューヨーク在住 戦略コンサルタント 博士(学術)
板越ジョージ氏
1988年に単身渡米。サウスカロライナ大学国際政治学部卒業。中央大学大学院戦略経営研究科修了(MBA)、 同大学院総合政策研究科博士後期課程修了(博士:学術)。
1995年にNYで創業。アメリカに進出する企業や起業家へ会社設立や資金調達などの支援を行う。日本においてはクラウドファンディングの第一人者として、利用促進のために活動中。
クラウドファンディング総合研究所 所長
ニューヨーク在住 戦略コンサルタント 博士(学術)
板越ジョージ氏
1988年に単身渡米。サウスカロライナ大学国際政治学部卒業。中央大学大学院戦略経営研究科修了(MBA)、 同大学院総合政策研究科博士後期課程修了(博士:学術)。
1995年にNYで創業。アメリカに進出する企業や起業家へ会社設立や資金調達などの支援を行う。日本においてはクラウドファンディングの第一人者として、利用促進のために活動中。
クラウドファンディングはみなさまの夢を実現させるチャンスを生み出す方法の一つです。しかし、やれば誰しもチャンスが巡ってくる、ということではありません。
検討からプロジェクト終了までのステップで、綿密な下準備や継続的な運用が必要です。
クラウドファンディングは、明日からすぐに始められる、というものではありません。第3回「アメリカに学ぶ、クラウドファンディング活用方法」でもご紹介したように、クラウドファンディングを成功に導くには、マーケティング手法を取り入れることが重要です。戦略を練る暇を惜しんでは見込み顧客の獲得は難しく、「使っていただければ良さが分かると思います」という営業的な販売に頼ることになってしまいます。
クラウドファンディングはあくまでもきっかけであって、ゴールではありません。プロジェクト自体が、商品を作ったり、イベントを開催したりするだけの一過性の施策では、クラウドファンディングにかけた時間と労力が無駄になってしまうので、「プロジェクトの実績を示して販路開拓をする」、「集めたユーザーの声を改良や開発に活かす」など、プロジェクト終了後の出口戦略をしっかり立て、その後のマーケティングにつなげることが大事です。そのためにも、明日からすぐに始めるのではなく、事前に十分な時間を使って、長期的な計画を立ててください。
プロジェクト検討から終了まで、またそれ以降のマーケティング運用を考えると、全てのことを一人でこなすのはとても難しいです。クラウドファンディングを実施する際は、それぞれ得意分野や属性の違うメンバーを4人以上集めてチームを作ることをおすすめします。例えば「SNSが得意な人=広報担当」、「買い物上手な人=リターン担当」といった振り分けができればメンバーの得意なことを活かせます。また、社会人もいれば学生もいる、といった構成を作ると、若者の意見を取り込める一方で、学生感覚に偏らないチームを作ることもできるのです。
クラウドファンディングで支援を集めるには「ストーリー」と「共感」が必要です(第3回コラム参照)。そのためには、プロジェクトの説明文で「なぜクラウドファンディングを利用して支援を集める必要があるのか」を支援者に伝えなければなりません。その際、プロジェクト実施者は商品やサービスに対する想いを、感情的に綴ってしまいがちなのですが、それでは支援者の共感を得るのは難しいです。まずは客観的な事実に基づき、自分の意見を論理的に主張しましょう。
有名な文章法に「『5W1H』を踏まえる」というものがありますが、クラウドファンディングの場合は以下の通り「5W2H1M」まで広げて考えると、必要なことを論理的にまとめるのに役立ちます。
プロジェクトの説明文を書く際は、いきなり書き始めるのではなく、まずは箇条書きで「5W2H1M」を書き出してください。箇条書きをもとに説明文を構成していくことで、論理的で支援者に伝わりやすい文章になります。プロジェクトに対する熱い想いについては、その後で修飾的に加えていくことをお勧めします。
目標金額に達しなくても集まった資金を受け取れる「実施確約報酬型(第5回コラム参照)」の場合は、目標未達成の場合に実施するプラン内容の詳細を示しておく必要があります。
私は「クラウドファンディングで成功する1/3の法則」と呼んでいるのですが、目標資金の1/3は自分の直接の知り合いから集め、さらに1/3は知り合いの知り合いから、そして最後の1/3だけを知らない方から集めてください。まず身近な人に商品やサービスの魅力を伝え、「それならぜひ」と積極的に支援してもらえるようにすることが大切なのです。プロジェクト開始早々に資金が集まってきていれば、支援者にプロジェクトが詐欺でないことを証明する仕組みにもなり、資金を集めやすくなります。
例えば、新規オープンの飲食店の評判を、行列ができているかどうかで判断することはありませんか?初日から行列ができていれば「おいしそうなお店」と行ってみたくなりますが、ガラガラだったら食べに行く気にはならないですよね。クラウドファンディングも同じで、初速が速く、初期に支援者を集めているプロジェクトは、その後も注目度が上がりやすく、目標達成しやすくなります。私はこの状況を「行列のできるクラウドファンディング」と呼んでいます。
目安として、最初の1週間で目標の25%達成を目指しましょう。そのために、以下のようなことを実践してみてください。
- 「4.目標資金の1/3は直接の知り合いから集める」を実行し、公開直前にすぐにプロジェクトに参加してもらえるように準備する
- クラウドファンディング実施に関するプレスリリースを配信する
- SNSで情報拡散する
- 年配の方へのアプローチとしてリアルでの交流の場を作る
このように、入念な事前準備や公開後の定期的な情報発信を心がけ、支援者の注目度を高めるような“流れ”を生み出すことが大切です。
ぜひクラウドファンディング実施の際の参考として、お役立てください。