日中の一般拝観が終わり、静寂を取り戻した境内に鐘の音（ね）が響き、それを合図に入場です。かつて応仁の乱の兵火で焼け野原になった京の都で、復興に際して最初に鳴らされたという鐘の音が、古都の特別な一夜へ誘います。今宵は通常非公開の国宝の本堂内陣に加え、重要文化財の三重塔や経堂、朝倉堂、西門が特別に拝観できる貴重な機会。本堂内陣には十一面千手観世音菩薩立像が安置され、両脇には二十八部衆がずらりと並びます。

2008年から始まった清水寺の大修理が、すべて完了したのは2021年の春。奥の院の舞台からは、江戸時代の再建当時の姿が甦った「清水の舞台」と、秋本番を迎えた紅葉がともに臨め、一幅の絵画のような景観が広がります。その美しさは、思わず息を呑むほど。感嘆の声も上がり、感動の一瞬を写真に残したいと撮影に勤しむ人、家族や友だちと感激を分かち合う人。それぞれの心に、新しい清水寺の思い出が刻まれます。

清水寺の魅力は、壮大な自然と一体となった伽藍全体の総合美です。ライトアップされた文化財の美しさもさることながら、境内各所から眺める紅葉も圧巻で、遠方に望む京都市街の夜景も華やぎを添えます。参加者からは「久しぶりにゆっくり紅葉を楽しんだ」、「夜景に惹かれて参加しましたが、日本的な景観のすばらしさに胸がいっぱいになりました」などの声も聞かれ、それぞれが、自分のペースでゆったりと古都の秋を満喫する時間となりました。

古くから「きよみずさん」と呼ばれ、老若男女、貴賤を問わず、多くの人々の心のよりどころとなってきた清水寺。今回の夜間特別拝観でも、小さなお子さまから高齢者まで、幅広い年齢層の方々がご参加くださいました。なかには、この日のために久しぶりに全員が集まったというご家族もいらっしゃり、懐深い清水寺の秋の夜を、かけがえのない人とゆったり体感するひとときは、一歩奥深い魅力を発見する機会になったことでしょう。「アメックスイベント 知新の扉^TM」では、これからも心が豊かになるひとときをお届けしてまいります。