American ExpressAmerican ExpressAmerican ExpressAmerican ExpressAmerican Express

プロフェッショナルの新・視線/第3回

 

「感性」がビジネスをドライブする、

ニコライ・バーグマン流経営術(後編)

 

ニコライ・バーグマン

 

デンマーク出身のフラワーアーティスト。北欧のテイストと細部にこだわる日本の感性を融合させた独自のスタイルをコンセプトとし、自身で考案した「フラワーボックス」は、フラワーギフトの定番として人気を博している。現在、国内外に14店舗のフラワーブティック、国内に2つのカフェを展開。フラワーボックスの誕生20周年を記念する展覧会「The Flower BOX Exhibition」を、2020年6月から11月にかけて太宰府天満宮(福岡)・清水寺(京都)・六本木の計3カ所で開催予定。自身の人生哲学をまとめたビジネス書『いい我慢~日本で見つけた夢を叶える努力の言葉~』(あさ出版)が好評発売中。

 

 

■ 「アーティスト」と「経営者」の両方を楽しむ

■ 「花」を通じてスタッフと心を通わせる

■  ビジネスは「時間」が育てるもの

ニコライ・バーグマン氏にとって「経営」は、花を飾るのと同様、楽しくワクワクするものだそうです。事業が拡大する中では、従業員とのコミュニケーションをより一層、大事にしているとか。さらに詳しくお話を伺います。

 

「アーティスト」と「経営者」の両方を楽しむ

 

――会社が大きくなると、経営者としての仕事が増える反面、フラワーアーティストとして過ごす時間が減り、ストレスを感じるようなこともあるのではないでしょうか。

それはもちろんあります。本音を言えば、朝から晩まで好きなように花に触っていられれば最高です。とはいえ、もともと「バランスをとる」のが得意な性格なので、経営の仕事にも面白さを見出しています。

財務の細かいことはCFOに任せていますが、数字を見たり考えること自体、嫌いというわけではありません。新しいお店の売り上げ予測を立てるとき、エクセルの表が「夢の設計図」のように思えて、楽しくてたまらないものです。

今年からデータアナリストを新たに迎えました。お客様の購買データを分析して、店舗づくりやオンラインショップでのレコメンドに活かすという新しい取り組みにもワクワクしています。例えば、「赤いフラワーボックスよりも、白いフラワーボックスの方が何個多く売れている」といったデータを深く掘り下げることにより、どんな新たな発見が得られるのか、とても楽しみにしています。

花

「花」を通じてスタッフと心を通わせる

――従業員が増えるとマネジメントも大変になってくるのではないですか。

 

ありがたいことに、「ニコライ バーグマン フラワーズ & デザイン」には長くいるスタッフが多いんです。私の片腕として活躍してくれているジェネラルマネージャーとは、もう20年の付き合いになりますし、10年以上勤めているスタッフも20人以上います。私が何か言うとすぐに、「はいOK」という返事が返ってきます。そうしたベテランメンバーが中心となり、私の考えを他のメンバーに伝えてくれています。

 

会社が大きくなると古いメンバーが離れていってしまうという話も聞きますが、当社ではみんな、仕事を楽しんで続けてくれています。「クリエイターとして3年先、5年先のことまで考えたくない」という話をしましたが、スタッフも同じ意識だと思います。目の前のやりたいことに全力で取り組んできた結果、今でも私と一緒に走ってくれているわけです。

 

一方、会社が大きくなった結果、みんなと直接話せなくなったという問題はあります。「つながっている感覚」はチームワークを維持するためにも、個人のモチベーションを高めるためにも、絶対に必要なものです。その点を補うため、月に1度、南青山のショップで全社ミーティングを開いています。店内に目一杯、70~80人が集まるので、もうギュウギュウです。ショップに来られない人には、iPadなどを使ってリモート参加してもらいます。

――スタッフとコミュニケーションを取るときは、どのような点に留意していますか。

 

全社ミーティングでの私の役割は、「最近どう?」「元気でやってる?」などとスタッフに声をかけて回ることです。業務連絡は各マネージャーを通じて行えばよいことですし、何か具体的な問題が持ち上がっていたとしても、短い時間では何も解決できないので、まずは現場のスタッフとマネージャーでゆっくり話してもらった方が効率的です。全社ミーティングは、あくまで人間関係を深める機会。現場のスタッフの様子を直接見ることで、すべてうまく行っているか、何か誤った方向へ進んでいることはないか、肌で感じるようにしています。

 

あとは、やはりみんな花が好きでここで働いているので、花を通して対話をするのが一番だと思っています。私がショップに行って、カウンターに入って花を選んで、みんなと一緒に作品をひとつ作るだけで、スタッフはハッピーなんですね。現場で私が花を触ることで、スタッフと連帯感を築くことができるのです。ただ、私が突然、ショップに現れると緊張して困るという若手スタッフもいるので、事前に伝えるようにはしています。

ニコライ・バーグマン氏

ビジネスは「時間」が育てるもの

――影響を受けた経営者やビジネスパーソンはいますか。

 

私が尊敬するのは、低迷している会社をV字回復させるのに貢献したような経営者たちです。例えば、デンマークのレゴ社は一時期倒産寸前だったのですが、従業員の中から抜擢された35歳のCEOが、それまでとは真逆のやり方で会社を立て直し、レゴを世界一の玩具メーカーへと変身させました。こういう話を聞くとワクワクしますし、大きな刺激を受けます。

 

ビジネス書を読んで刺激を受けることもあります。サイモン・シネックというコンサルタントが書いた『Start with Why』(邦訳『WHYから始めよ!』)という本もそうです。「何を(WHAT)すれば儲かるのか」といった発想ではなく、「なぜ(WHY)それをやるのか」という理由を考えることが、成功につながるという内容です。

 

――最後に、グローバルにビジネスを展開したいと考えている日本の経営者に向けて、メッセージをお願いします。

 

ビジネスを育てるには時間がかかります。最初から完璧な形の組織を作ろうとしたり、無茶な計画を立てて会社を大きくしようするのではなく、落ち着いて「今、自分がやりたいこと」を考えた方がいいと思います。それを一つずつクリアしていけば、いつの間にか、思ってもいなかったような場所に到達しているはずです。

 

(終)

 

前編はこちら

 花 - ビジネス・オーナーの方々へ -

取材後、ニコライ・バーグマン氏に、日々ビジネスに打ち込んでいるビジネス・オーナーに向けて花を生けてもらいました。

 

「会社のトップとして日頃から頑張っているオーナーへ、花を眺め、一息ついてリラックスしていただきたいという想いを込めてデザインしました。気分転換することで、新しいアイディアの誕生に繋がりますので、ぜひ、花を眺める時間を作ってリフレッシュしてほしいです」(ニコライ・バーグマン氏)