法人化のメリット・注意点とは?個人事業主と法人の違いとタイミングについて解説

法人化のメリット・注意点とは?個人事業主と法人の違いとタイミングについて解説

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2025/06/05

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2025/06/05

個人事業主として事業を展開するうえで、選択肢のひとつとして挙げられるのが法人化です。法人として事業を行う場合、一般的に社会的信用度が向上するなど複数のメリットがある一方、注意点が存在することも忘れてはなりません。

 

今回は、個人事業主と法人の違いを確認しながら、法人化のメリットや注意点、法人化に適したタイミングなどを解説。法人化の流れや必要な手続きも紹介します。

法人化(法人成り)とは?

 

法人化(法人成り)とは?

 

「法人化」とは、個人事業主が株式会社などの法人を設立して、個人として行っていた事業を引き継ぐことです。「法人成り(ほうじんなり)」とも呼ばれています。

 

「法人」とは、民法や商法などの法律によって、自然人(個人)以外で権利能力を認められた存在。法人は、私人が設立できる「私法人」と、国や地方公共団体など公の事業を行う「公法人」に大別されます。

 

私法人はさらに、営利を目的とした株式会社や合同会社などの「営利法人」と、一般社団法人やNPO 法人などの「非営利法人」に分けられます。個人事業主の法人化(法人成り)は、営利法人化することを指すのが一般的です。

 

この記事では、営利法人である株式会社化する前提で解説します。

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個人事業主と法人の違い

 

個人事業主と法人の違い

 

個人事業主と法人には、設立の手続きや費用、課せられる税金の種類や税率、保険、会計や決算など、さまざまな違いがあります。

  個人事業主 法人(株式会社)
設立手続き 税務署に開業届を提出
確定申告を青色申告にする場合は「青色申告承認申請書」の提出も必要
法務局での法人登記などの手続きに伴い、社判などの用意も必要
税務署に開業届を提出
「青色申告承認申請書」を提出
設立費用 0円 資本金
法定費用
課せられる主な税金 所得税(累進課税)
個人住民税
個人事業税
消費税など
法人税(比例課税)
法人住民税
法人事業税
消費税など
社会保険加入 従業員数5人未満なら加入義務なし 加入義務あり
責任範囲 無限 有限(連帯保証人の場合を除く)
経費の範囲 比較的狭い 比較的広い
資金調達 比較的難しい 比較的しやすい
会計・経理 確定申告 決算書作成・法人税申告
赤字の繰越 3年(青色申告の場合) 10年(平成30年4月1日より前に開始した事業年度での欠損金の繰越期間は9年)
社会的信用度 法人に比べて低い 得やすい
  個人事業主 法人(株式会社)
設立手続き 税務署に開業届を提出
確定申告を青色申告にする場合は「青色申告承認申請書」の提出も必要
法務局での法人登記などの手続きに伴い、社判などの用意も必要
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法定費用
課せられる主な税金 所得税(累進課税)
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社会保険加入 従業員数5人未満なら加入義務なし 加入義務あり
責任範囲 無限 有限(連帯保証人の場合を除く)
経費の範囲 比較的狭い 比較的広い
資金調達 比較的難しい 比較的しやすい
会計・経理 確定申告 決算書作成・法人税申告
赤字の繰越 3年(青色申告の場合) 10年(平成30年4月1日より前に開始した事業年度での欠損金の繰越期間は9年)
社会的信用度 法人に比べて低い 得やすい

このほか、事業継承のしやすさや事業の廃止方法など、個人事業主と法人(株式会社)の違いは多岐にわたります。

 

▼個人事業主と法人の違いについては、こちらの記事でも紹介しています

「個人事業主」と「法人」の違いを分かりやすく解説

法人化するメリット

 

法人化するメリット

 

個人事業主が法人化する主なメリットとして、以下が挙げられます。

 

 

・社会的な信用度が向上する

法的な手続きを踏んで法人格を取得している株式会社などは、所在地や代表者などを法務局に登録(登記)することで責任の所在なども明確になるため、社会的な信用を得やすいと言われています。個人事業主から事業をそのまま引き継ぎ、法人成りした場合も同様です。

 

 

・資金調達がしやすくなる

法人は比較的社会的信用度が高いため、一般的に個人事業主に比べると銀行の融資や投資を受けやすくなります。個人事業主も資金調達は可能ですが、融資額や用途が限定される場合があります。

 

 

・課税ルールが変わる

個人事業主と法人の違いのなかでも顕著なのが、所得に対する税金の課税ルールです。

 

・所得税(個人事業主)

所得が多くなるに従って段階的に税率が高くなる「累進課税制度」が適用される

・法人税(株式会社)

所得の大小を問わず、法人の区分に応じて課税対象となる金額に対して一定の税率が課せられる

 

累進課税制度の場合、税率は最大45%。資本金や開始事業年度により異なりますが、株式会社の場合、法人税の税率は最大23.4%です(2025年4月1日時点)。

 

参考:国税庁「No.2260 所得税の税率

参考:国税庁「No.5759 法人税の税率

 

 

・計上できる経費の範囲も広がり、シンプルになる

事業活動にかかった費用は、事業の形態を問わず経費として処理できますが、法人化することで計上できる経費の幅が広がります。

 

たとえば、給与。個人事業主は自身の給与を経費として扱えませんが、法人は「役員報酬」として経費計上できます。法人であれば、賞与や退職金、出張手当、家賃手当なども経費として扱うことが可能です。そのほか、事業で利用している車両代やガソリン代なども、法人名義の車であれば、車検代や自動車税、保険料を含め経費として計上できます。

 

個人事業主も、家事按分を利用してガソリン代などを経費として計上することは可能ですが、プライベートと事業の割合算出やその根拠を明確に説明する必要があります。経費計上がシンプルになるのは、法人化するメリットのひとつです。

 

 

・責任範囲が有限になる

個人事業主は事業における全責任を負う必要がありますが、法人化すると有限責任になり、自身の出資額に対してのみ責任が発生します。仮に倒産した場合も、出資額はなくなるものの、それ以上の責任を追う必要はありません。

 

▼法人カードの審査については、こちらの記事で解説しています

法人カードの審査とは?審査に必要な情報やポイントについて解説

法人化の注意点

 

法人化の注意点

 

個人事業主が法人化を考える際、メリットに目が向けられがちです。しかし順守すべき注意点があることも、しっかり理解しておきましょう。

 

 

・会社設立に費用がかかる

金額は会社の種類、法人の形態によって異なりますが、株式会社の場合は24万円程度。登録免許税や定款認証手数料、印紙代などがかかります。加えて司法書士に依頼する場合は、その費用も必要です。

 

 

・社会保険加入が義務づけられる

法人化すると、決められた期間内に社会保険への加入義務が発生します。

 

社会保険には「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」などがありますが、個人事業主が加入する「国民健康保険」「厚生年金」「介護保険」に比べ高額になるのが一般的です。従業員がいる場合は、従業員の社会保険料も一部負担します。

 

 

・赤字でも税金を納付する必要がある

個人事業主の場合、赤字であれば所得税や住民税は納付しなくてもよい場合があります。しかし法人の場合は、赤字であっても納付すべき税金があります。たとえば、法人住民税の均等割などの納付義務が発生する場合があります。

法人化に適したタイミング

 

法人化に適したタイミング

 

個人事業主が法人化するのに適したタイミングはさまざまありますが、一般的には、以下のように言われています。

 

 

・課税所得が700〜900万円になったタイミング

前述したように、個人事業主に課せられる税率は課税所得によって変動します。課税所得が695万円を超えると、所得税率は23%。住民税(所得割:10%)と合わせると、納めるべき税額は33%です。

 

対する法人税の税率は、所得が800万円以下なら15%(資本金が1億円以下の場合)、800万円を超えても23.2%です。事業税や住民税などを考慮しても、個人事業主より支払うべき税金を抑えられると言えるでしょう。

個人事業主の所得税計算方法

課税所得金額 税率 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

 

参考:国税庁「No.2260 所得税の税率

法人税の税率

所得金額 税率
8,000,000万円以下
(資本金が1億円以下の場合)
15%
8,000,000万円超 23.2%

※2016年4月1日以降に事業を開始した株式会社の場合

 

参考:国税庁「No.5759 法人税の税率

・取引先から法人化を求められたとき

取引において、契約相手の事業形態を法人に限定しているケースもあります。取引先から法人化の打診があり、継続的かつ安定的な取引が見込める場合は、前向きに検討するのも良いでしょう。

 

上記のほか、課税売上高が1,000万円を超え消費税の納税義務が発生するタイミングも、法人化の検討時期に値すると言われています。

 

▼会社設立直後に法人カードに申し込むメリットは、こちらの記事で解説しています

法人カードは会社設立直後でも申し込める?カードを作るメリットも解説

法人化の流れと必要な手続き

 

法人化の流れと必要な手続き

 

では、株式会社を例に、法人化(法人成り)の流れや必要な手続きを紹介します。

 

 

1)会社の基本事項を決める

  • 社名(商号)
  • 資本金の額
  • 事業目的
  • 決算期
  • 本店所在地
  • 設立時の株主や役員構成とその報酬額
  • 発行株式数

 

社名(商号)には、「-」「:」などの記号は使用できません。類似社名がないかも確認しておきましょう。

 

参考:法務省「オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について」

 

 

2)法人用の実印(印鑑)を作る

法人用の実印のほか、口座開設に用いる銀行印、請求書などに押印する角が四角い角印などを用意します。余裕があれば、社名や所在地、電話番号、URLなどが入ったゴム印も作っておきましょう。

 

 

3)定款を作成する

定款は会社設立に不可欠な法定文書で、「会社の憲法」とも呼ばれる重要な書類です。主に1)で決めた内容に加えて、会社の運営や財産を左右する根本規則を定めます。

 

定款の作成は個人でも可能ですが、専門的な知識が必要なため、行政書士や司法書士などの専門家に相談するのが良いでしょう。

 

 

4)定款の認証を受ける

定款を作成したら、公証役場で公証人による認証を受けます。その際、手数料や収入印紙代などの費用が発生します。

 

なお、定款の認証はオンラインでも受けられます。オンラインであれば収入印紙代は不要ですが、電子署名付き委任状と発起人の本人確認資料が必要です。

 

 

5)資本金の入金または払込

定款作成日から登記申請までの間に、発起人の個人口座へ資本金を入金または払込を行います。登記申請時に必要になるため、通帳の表紙と1ページ目、資本金の取引が記載されたページのコピーを用意します。

 

 

6)法務局で登記申請を行う

法務局で登記申請を行います。必要書類の確認や登記申請書は、法務局のウェブサイトを参照しましょう。

 

出典:法務局「商業・法人登記の申請書洋式

参考:法務局「商業・法人登記申請手続

 

登記申請後、完了まで2週間ほどかかりますが、会社設立日として登記されるのは申請を行った日です。郵送で行った場合は、法務局に書類が届いた日が会社設立日となります。

 

 

・会社設立後の手続き

税務署に「法人設立届出書」「源泉所得税関係の届出書」「消費税関係の届出書」などを提出します。必要に応じて提出する書類もあるので、国税庁のウェブサイトで確認しておきましょう。

 

出典:国税庁「No.5100 新設法人の届出書類

 

社会保険の加入手続きや法人用銀行口座の開設が完了したら、必要に応じて資産や契約、設備などを法人名義に移管し、法人としての運営体制を整えます。

事業成長をサポートしてくれる、アメックスの法人カード(ビジネス・カード)

 

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ビジネスに特化した付帯サービスが使えるのが、法人カードを活用する大きなメリット。アメリカン・エキスプレスでは法人カードを「ビジネス・カード」と呼んでおり、3種類のビジネス・カードがあります。

 

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アメリカン・エキスプレス®・ビジネス・プラチナ・カード

 

参考:アメリカン・エキスプレス「ビジネス・カード

 

ビジネス・カードを活用すれば、キャッシュフローの改善やコストの一元管理、経費処理の効率化、利用額に応じたポイントの獲得など、数々のメリットを享受できます。

 

アメックスのビジネス・カードは、起業から事業拡大まで幅広くカバーするサポートやサービスが充実しているのが大きな特長です。たとえば、パートナー発掘、販路拡大に役立つ「ビジネス・マッチング」です。

 

参考:アメリカン・エキスプレス「ビジネス・マッチング

 

また、ビジネス・カード利用が可能な加盟店も随時拡大しており、DX化や集客力向上のサポートを受けることも可能です。

 

参考:アメリカン・エキスプレス「アメリカン・エキスプレスの法人カードが使えるところ

 

支払い方法も一括払いに加え、分割払いやリボ払いにも柔軟に変更できるので、会社設立直後や先行投資が必要なタイミングでも、キャッシュフローの安定に一役買ってくれるでしょう。

 

参考:アメリカン・エキスプレス「ビジネスで選べる支払い方法

 

アメックスのビジネス・カードの利用可能額は、カードの種類や法人・事業単位に依存せず、利用状況や支払い実績によって設定されます。そのため、必要な付帯サービスや事業ステージに合わせてカード選びができるのも、アメックスならではのメリットと言えるでしょう。

 

▼アメックスのビジネス・カードについては、こちらの記事でも解説しています

法人カード(ビジネス・カード)の6つのメリットや選ぶポイントを解説

【公式】アメックスの3種類のビジネス・カードの特長を解説

アメックスの法人カード(ビジネス・カード)申し込み時に必要な書類

 

アメックスの法人カード(ビジネス・カード)申し込み時に必要な書類

 
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードの画像

アメックスのビジネス・カード申し込みは、公式ウェブサイト上からオンラインで行うことができます。

 

参考:アメリカン・エキスプレス「ビジネス・カード

 

個人事業主でも作ることができますが、個人と法人で、申し込みに必要な書類が異なるため、それぞれ必要な書類を紹介します。

 

・個人事業主の場合

個人事業主がアメックスのビジネス・カードを申し込む際には、以下の書類が必要です。

 

  • 代表者の本人確認書類

 

本人確認書類として認められるのは、以下の書類です。コピーを提出します。

 

【本人確認書類一覧】

  • 運転免許証
  • 運転経歴証明書
  • 住民票の写し
  • マイナンバーカード(個人番号カード)(表面のみ)
  • 在留カード
  • 特別永住者証明書

 

 

・法人の場合

法人がアメックスのビジネス・カードを申し込む際には、以下の書類が必要です。

 

  • 代表者の本人確認書類

 

法人の確認はアメックスで行いますが、追加で商業登記簿謄本または登記事項証明書のいずれかの提出が求められる場合もあります。

 

個人事業主・法人ともに、申し込み後アメリカン・エキスプレスによる入会審査が行われます。ビジネス・カードは申し込みからカード受け取りまで個人事業主の場合1週間程度、法人の場合3週間程度の時間がかかるため、余裕を持って申し込みを行うようにしましょう。

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